約14年間のWebの仕事で見つけた好きなこと

私がWebの仕事に従事していたのは、2005年からの約14年間です。
企画営業・顧客折衝・制作進行管理(ディレクション)・簡易なサイト更新作業の領域で仕事をしていました。
現在はその頃のスキルを活用して、ご要望があればWebサイト改善のためのセッションやアイディアの提供をしています。(個人事業主さん、または一人会社さんのみを対象としています。)

技術は日々進歩しているので、実装段階における技術的なことについてはたいして助言はできませんが、

  • このWebサイト/SNSは何のために作ったのか
  • このWebサイト/SNSを使ってあなたはどうなりたい・どうしたいのか
  • 今一番したいこと、今一番困っていることは何か
  • 現状のWebサイト/SNSから感じる初見印象のフィードバック

などの、Webサイトの企画・要件定義フェーズにおける整理整頓は、流行り・進化とは関係なくシンプルかつ深い問いの時間が必要であると感じています。

私はこの問いの時間が、当時は無自覚ではありましたが大好きな時間でした。

そして、今こうして振り返ると、いわゆる「企画」領域において、下記の3要素が、自分がたまらなく好きなんだなと改めて感じます。

目次

課題・目的整理/現状把握

企業サイトや事業・ブランド・商品サイトの新規構築・リニューアルにおける企画提案をする際に、兎にも角にも最初に行うことが、クライアントさんの現状把握と課題・目的の再整理でした。

「Webサイトをリニューアルしたい」というご依頼の詳細・背景確認です。

大事なのは、リニューアルすることで何がどうなって欲しいのか。という後半の部分の言語化&すり合わせです。

こうして文字にすると、ひどく当たり前なことなんですが、これが思いの外、整理されていない、またはもうひと掘り欲しい!という状態で依頼が来ることが多かったです。

その背景例は多岐に渡りますが、
・企業さんの場合、組織上役割分担されていることが多く、窓口担当の方は実はよくわかってない。
・経営者さんからの直接依頼の場合、サービスを売るためにはWebサイトが必要だから依頼した、というまだこれから整理が必要な状況
といったパターンがあるあるな感じです。

これはクライアントが悪いとかそういう話しではなく、環境や人の脳の構造がもたらすものではないかな、と個人的には考えています。

人って、「これが課題・目的・ミッションなんだ!」って自分の中で、一度確定すると、それを疑って再検証する、という思考にはなかなか至らないものだと思います。

仮に再検証しても自分のいつもの思考の範囲での検証となり、自分が持ち得ない視点からの検証までできる方というのは少ないのではないでしょうか。

また、事実と解釈が絡み合って、事実だと思い込んでいたものが実は自分の思い込みだったり、、なんてこともよくあります。

だから、話し相手/壁打ち相手と一緒に整理することで、ようやく真の課題に辿り着ける。
※真の課題・目的も、関係者・時間など環境が変われば簡単に変わっちゃうこともありますけどね。

こうして話してみた結果、場合によっては本当の課題解決や目的達成のためにはWebサイトじゃないね、という結論に至ることもありましたが、それもまた必要な時間なわけで。

このように真の課題・目的のすり合わせの過程を経ていくと、クライアントさんのことをより深く理解できることに繋がり、なんだかチーム感も醸成されてきたり、そして時には解決すべき手段も同時に見えてきたりもするので、本当に大事な時間だなと感じています。

そして、今ではコーチングの学びによって得た、未来のビジョンと意義の整理も加えることで、より当人にとって納得感があるアイディア・アクションが見出せていけるようになりました。

世の中は段々と”個の社会”になっていると言われたりしますよね。
自分の人生と仕事の境界線がなくなり”ライフワーク”へと変容していく。

ライフワーク=自分の人生として、これから自分がどう生きていきたいかも同時に整理できていく時間にもなるんじゃないかなと考えています。

ブレスト→対話の愉しさ

企画は一人で考えると煮詰まりやすいです。(私の場合は、です。できる人が羨ましいデス。)

ランチの雑談ついでにディスカッションしたり、チームでブレストしたりすると、自分一人では生み出せないアイディアに意外と簡単に出会えることが多い。

似たような経験を持つ人もいるかと思います。

そして、私にとってはこのブレストやディスカッション、対話などの共創のプロセスが一番心ときめく時間です。

自分とは異なる得意・能力を持ったデザイナーやエンジニアたちとのブレストとなると、やはり自分では生み出せないアイディアや異なる視点からの気づきを提示してくれるので、それだけで「すごーい!たのしー!」とテンションが上がる幸せな時間でした。

今は場所を変え、いろんな対話の時間を過ごしていますが、同じ理想と共通の熱意をもったメンバーとの対話の時間は、もう何も準備せずとも、対話するだけで新たなアクションが生まれてきちゃう。ここは源泉地か?と思えるくらいに。

その時間その瞬間の化学反応でしかないので予測がつかない。

参加者次第で何が生まれるのかは全て偶発的なもの。

そんな何が生まれるのかわからないけど、確実に何かは生まれるワクワクが対話の時間にはあると感じています。

(Webの仕事をしていた時は「対話」と言う言葉は使っていなかったので、「ブレスト」からの「対話」と言い換えをしてみました)

日本語から日本語への翻訳

上記2つの段階によって、クライアントさんの想いを聞く→想いを踏まえて、誰にどんな形で伝えるのが良いかブレストを通して全体設計をするということをしてきて、仕上げの”言葉”と”流れ”の微調整をするための「日本語からの日本語訳」。

異業種ではあるものの、前職からずっと”伝える”ことをやってきたので、想いある人の言葉はそのまま伝わって欲しい人には届かない。ということは散々経験し尽くしたので、この仕上げは重要だと思っています。

クライアントさんはとっても熱い情熱を持っています。
「このサービスはとっても良いものです。理由はこうです!そしてそれをみんなに知ってほしい!受け取って欲しい!」

運が良ければ、そのままの言葉で通じることもあります。が、
前述の通り、経験上そういったパターンは少ないです。

理由としては、クライアントさん側とユーザーさん側のそれぞれの環境・知識量・経験値・感情などが結構違うから。です。

例えば職人さんの高い技術が詰まった商品があったとして

商品説明を聞いていると「この技術がこうでああですごいんです!」と、テクニカルな話や、そこへの情熱や苦労話になることがよくあります。

お話を聞いていて、本当に感動します。

もちろんその技術が差別化ポイントになることはあるんだけれども、そういう話とは異なる視点での整理も必要なんです。そこを切り分けられるかがポイントです。切り分けられないと、その情熱さが整理の障害になってしまうこともあったりします。

ユーザーさんは技術より先に知りたい情報があったりしますよね。
自分のユーザー体験を思い出せば、これも結構当たり前にわかることだったりしますが、発信側で情熱・想いと共に燃えていると、なかなかユーザーさんの気持ちに切り替えるのは難しかったりします。

整理には、情熱だけではなく冷静さも必要です。
情熱役と冷静役のコラボが必要なんです。

よく「他人のことはわかるのに、自分のことになるとわからない」と思うことってないですか?
私としては、これと同じ原理が働いてると思っています。

自分のことには熱量があって当然です。だって素敵な人生を送りたいですよね?
その熱量を冷まして冷静に俯瞰して見つめろ考えろというのはなかなか難儀なことですよね。

だから私は自分の整理がしたい時には、友人に聞いてもらったり、その道のプロにセッションをお願いしたりします。

と、少し話がずれましたが、、
冷静役の第3者目線を持った整理担当さんとして登場し、クライアントさんの想いと、ユーザーさんの気持ち、双方の視点を踏まえて交差するところはどこなのか、を探す。
伝えたい情報群の提供順と、言葉の微調整をしていく。

正解はなく、最終的にはやってみないとわからないのですが、話を聞いていると、「とりあえずその熱意そのまま出しても伝わらないだろうな、、」という確信だけはある。ということが多々あり、その交差ポイントを探していくのも私にとっては楽しい時間なのです。

整理の際にはいわゆるデザイン思考やカスタマージャーニーの作成といった作業も必要ですが、なんにせよ、いいサービス・商品とそれに出会えたらHappyになれるユーザーさんのマッチングのきっかけを創り出せることに寄与できることは幸せで有難いと感じています。

ちなみに確信の元の一つには、私が絶対に手放さないようにしている「何も知らない初見のユーザーさん目線・感覚」があります。冷静役に必要な要素ですね。

とにかく双方がハッピーになって欲しい。
という想いと共に、この整理の時間が私にただただ楽しさをもたらしてくれるんです。

※デザイン思考とは異なるアプローチで、アート思考でありのままを発信する方が合う、というパターンもあるので、ケースバイケースですが、時代が、頭(思考・論理)からハート(感性・直感)へと移り変わっているので、後者の”湧き出るものをそのまま放った方がいいだろうパターン”はこれからどんどん増えていきそうな気がしてます。

Thank you for sharing!
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この記事を書いた人

村瀬 敬 / murase kei
「対話力」構築プロデューサー/自己探究付き添い人/自己探究マニア
趣味は言語化、図式・視覚化、言葉遊び、間取り図眺め、遺伝子易経観照、猫動画鑑賞、いけばな
そして猫とあんこLOVE。

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